【特別企画】7月公開映画のキャッチコピーを読む

映画のキャッチコピーは、ときに流行語になったりして脚光を浴びることもありますが、多くの場合はすぐに忘れ去られてしまいます。
宣伝担当者が知恵をしぼって考えたんだろうに、それでは惜しい気もします。
そこで今日は、ふだんは一瞥するだけのキャッチコピーをじっくり熟読玩味してみたいと思います。

まずはこのコピーから。

 命を追った、あの夏。

7月5日公開の『クライマーズ・ハイ』のキャッチコピーです。
どの夏でもなく、“あの”夏というのがいいですね。
郷愁を感じさせる響きです。

映画は1985年の日航機墜落事故を報道する地元紙記者の物語です。
「命を追った」というのは、言うまでもなく記者たちの取材活動を指しています。
命は熱を持っています。命の熱さと夏の暑さ。両者があいまって、じりじりと照りつけてくるような、熱血コピーです。

 「マトリックス」の監督が描く革新のスピード世界

こちらは7月5日公開『スピード・レーサー』のキャッチコピーです。
これは個人的にはあまり好きじゃないですね。
“「マトリックス」の監督が描く”という部分がよくないです。
どうしても、過去の栄光にすがっている感じがしちゃう。
“革新の”と言うからには、これから新たな第一歩を築くんだという気概を見せてほしかったです。

 生まれてきてよかった。

これはいかにもスタジオジブリ作品らしい、宮崎駿監督『崖の上のポニョ』(7月19日公開)のキャッチコピー。
ちなみに同じ宮崎監督の1997年作品『もののけ姫』のコピーは「生きろ。」でした。言い方はちがいますが、「生きろ。」も「生まれてきてよかった。」も、同じことを言おうとしている気がします。

『もののけ姫』が公開された1997年には、14歳の少年による「酒鬼薔薇事件」が起こりました。今年は秋葉原で無差別殺傷事件が起きています。「生きろ。」も「生まれてきてよかった。」も、こうした事件に対するジブリなりの“返答”のように聞こえます。

 それでも、人間を守るのか

さて、最後は7月12日公開『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』のキャッチコピー。
どシリアスで、握ったこぶしに思わず力が入ってしまうようなコピーです。水木しげるの原作のすっとぼけた雰囲気からは、ずいぶん離れてしまいました。

ちなみに、私の記憶が確かならば、昨年公開された前作『ゲゲゲの鬼太郎』のキャッチコピーは「ニッポン、ゲ・ゲ・ゲ!」というものでした。
肩の力が抜けていて、こちらのほうが好きです。

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